RED GARDEN preドラマCD  Lost words




時系列は本編1話と2話の間、最初の戦いのあくる日。なくなった級友リーズの墓前に、偶然4人が顔を合わせる。
めいめいが友人を偲ぶために訪れたその墓の傍らで、4人はそれぞれ自分とリーズとの関係を語る。




レイチェルはいつもいる遊び仲間のグループと過ごす時間。
ローズは学校での友人との会話や、兄妹たちとの生活。
クレアはあまり周りに同化せずに、一人で、時々はユアンと居る。
ケイトはこの中でもっともリーズと親しく、昔からの友人だった。しかしケイトが優等生としての道を歩み、
少しずつ2人が離れていった時、リーズから今でも友人であること、自分には恋人ができたことを明かされる。




それぞれが想起する、かつてあった日常とそこに現れるリーズの描写が魅力的。
演劇的なダイアローグよりも、こうした日常会話のほうがまばゆいです。




こうして4人は、名前だけは知っている程度の同窓生にすぎなかった自分たちが、リーズの存在を介して結びついていたこと。
リーズだけが繋いでいた自分たちは今、互いに何も共有するものがない他人にすぎないこと。
しかし他人にすぎない自分たちは今、リーズの死にまつわる、ある逃れることのできない状況を共有していること。
を、次第に理解する。




リーズが死んだ日、それからのち必ずまたやってくる夜に、4人で、自らの手を用いて怪物を殺戮しなければならない。
4人には相互の信頼も、今置かれている状況を理解するすべもなく、ただ方法のみが与えられている。




ここまで。本編1話がそうであったような物語全体の状況説明と、4人が物語の始点に立つまでのあらまし。




ただ、過剰というか、なにか水槽に閉じ込めた捕食者とその獲物を、上から、力をこめて眺めているような描写はあまりとも、好みですけど。
生の動かしがたさとか死の返ることのなさを描くにあたって、濃い血の臭気が立ちこめる中、
石を抱えて何度打ち据えても息絶えない驚愕とか、その血のりの、信じられないほどねばねばした感触よりも、
クレアとユアンのどうでもいい会話とか、レイチェルと遊び仲間の過ごす長い時間のほうが、それをよく判れる。
それでは話が動かないかもしれませんが。




4人は、共通の友人リーズの存在を抜きにしては何のつながりもなく、当のリーズが失われたとき、
初めてお互いに知り合う、とかの構図は面白いです。
何の係わり合いもない、性格も居場所もかけ離れた4人が、呼び集められたと同時に根拠をうばわれて、
これから衝突したり、和解したりしながら進んでいかなければならない、というのは楽しみ。


あとは、こんなに4人が苦労して、リーズは生還が許されるのか、とか
死んでいるとは言っても昼には普通に暮らしているのでそっちがどうなるかとか、色々楽しみがありますね。